相性について(2)ー医者と患者の相性とはー

あっという間にもう2月になってしまいました。

 

とっても長ーい期間、ブログの更新をさぼってしまっていました。

大学業務と、地域連携プロジェクト、そして遅れてしまっている著書の執筆とに忙殺されていました。

 

おかげさまで、オフィスへの新規来談申し込みも順調で、そちらが忙しかったのもあります。

 

忙しさは変わらないのですが、少し日差しに強さが感じられて気分も上向いてきましたので、ブログの更新をします。

 

相性シリーズの第2弾です。

9月の第1弾が、主にセラピスト(カウンセラー)とクライエントとの相性についてだったので、今回本当は「恋人・夫婦の相性」を書くつもりでした。けれども、それは第3弾に譲って、このブログによりふさわしい「医者と患者の相性」について書きます。

 

最近この業界でとても良く耳にするようになった言葉に、「医者との相性」があります。たとえば「やっぱりお医者さんとも相性があるので」、「あのお医者さんとは、どうも相性がイマイチで・・・」などです。あるいは相性という言葉は使われないものの、現在通っている心療内科や精神科の医者に関する不満もとてもよく耳にします。その不満の大半は、やはり相性の問題なのではないかと思われるものが多いという印象を持っています。

 

つまり、まんざら悪い医者ではなさそうだけれど、ご本人が求めているような態度や説明では無いということが多いようです。

もちろん、世の中には名医とそうでない医者がいるのは確かです。

 

名医の条件

ちなみに私が考える名医の条件を挙げると以下のようになります。

 

①診断が的確であること

②治療法や処方の選択が適切であること

③上記の2つに関して、説明が過不足ないこと

④診察態度やアドバイスが適切であること

 

この4点に尽きると思います。

内科や外科であれば、この4つにさらに「的確な予測」が入るでしょうが、精神科や心療内科では、予測に関してはとても難しいので、期待するのは酷かもしれません。

逆に、知名度や予約・診察の混み具合、研究論文や著書の多さは、「診察医としての技量」とは別の側面なので惑わされないことが大切です。

勤務先が大病院かどうかに至っては、精神科や心療内科に限っては「ほぼ逆」なのではないかという印象すらあります。この領域では、大学病院や国立病院は必ずしもお勧めできないというのが、残念ながら率直な印象です(詳しい理由は、別の機会に書きたいと思います)。

 

ただし上記の①~④の4側面は当事者としては判別が難しいというのも事実です。なのでその場合は「率直な疑問や要望をぶつけた時にどのような反応をするか」で、判断するのも大切です。

 

診断や薬に関する質問をして、いらだちを見せたり戸惑いを隠せない医者はやはり論外というべきでしょう。反対にわかりにくい専門的な説明だけして満足している場合は、悪くはないけれど人間性としてどうかという疑問は残ります。

 

これらの点に関して、悪くないという印象が得られたら、次に大切なのが「相性」です。

これは、人それぞれで好みの問題もあるので論じるのがとても難しい問題ですが、あえて重要な1点に集約すれば

 

医師との相性の最重要点は「医師の発揮する指導性が、自分の求めるものに合っているか」

 

だと思います。

 

つまり、積極的な説明とアドバイスをする医師と、あまりそれらをしない医師、あるいは説明やアドバイスをするけれど、曖昧でよくわからないものが多い等の違いです。

 

上記の名医の4条件を満たした上でありさえすれば、この指導性に関してはどの程度がいいかは、まさに「好み」の問題だと言っていいでしょう。

患者として「本当のことはバシバシ言って欲しい」という人から、「本当のことでもあまり強く言われると心が折れるから、言わないで欲しい」という人、あるいは「熱心にいろいろ言ってくれるけれど、中身はよくわからないくらいがちょうどいい」という人まで、様々な人がいらっしゃるのが現実です。

 

薬の飲み方、仕事の仕方に関しても、親族や家族・友人との付き合い方に関しても「○○した方がいいと思いますよ」「今は、それはやめたほうが良いです!」などのはっきりした表明や「この薬には○○の副作用がありえます」「今は、辛いでしょうけれど薬を増やさないで頑張るときです」等々の、多少苦言に近い言葉でも言ってもらった方がいいか、それとも出来るだけそういう働きかけなしで診察・処方を進めていってほしいかという違いです。

 

私自身はもちろん医者ではありませんが、統合的な心理療法を目指していますので、このあたりもクライエントさん一人一人の好みと適切さに合わせてできるだけ調整しているつもりですが、通常お医者さんはそこまでしてはくれません。

 

なので、この「指導性」に関して、しばらく通ってみて「もっとはっきりと言ってください」とか「いえ、そこまで言われたくないです」等の要望を出したうえで、それでもどうにも合わないと確信したら、別の医師やクリニックを検討するのも、選択肢の一つになってくると思います。

 

常々、「医者とカウンセラーとタクシーは、使ってみないと善し悪しが判断できない」ということ、「でも、医者とカウンセラーと弁護士は、きちんと選ばないと、とんでもないことにある場合がある」というのが、私の持論です。そして、選ぶための判断材料を得るためには「ちょっと要望を伝えてみる」というのが、どうしても必要なわけです。

 

当オフィスにお出での方も、ぜひ、率直な要望を、カウンセラーに伝えてみてください。その時の反応で、その担当カウンセラー(私を含む)の、本当の力量がわかると思います。(続く)

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